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| またか |
すんません、また白服ネタです。 下の下の、イザークさんとラクスさんとメイリンちゃんのお話の、同じ時間あたりの話です。 キラvsシン。 でもどこまでもギャグ。つか、うちのキラって結構気のど…ごにょごにょ…… あ、下から順番に読んでくださいね。 ラクスの執務室から続く廊下を歩きながら、キラは大きくため息をついた。 今頃ラクスはイザーク・ジュールと会って話をしているはずだ。内容はまあ、見当がつく。 キラがいらっしゃいますと話がややこしくなりますから、とラクスはやんわりと…どころか相当ハッキリとキラに席を外させたわけだが、まあ今行われている会話が和やかなものであるわけもなし、好き好んで同席したいわけではないけれど、それにしても、一応、僕ってラクスの護衛のはずなんだけど、という気もしないでもない。だってラクスは、キラ以外の護衛の人間にも、席を外させているはずなのだ。 まあ、銃を撃っても的に当たりもしないキラは護衛と言っても本当に名ばかりだから、それよりはこの建物及びラクスの部屋近辺に施したセキュリティの方がよほど役に立つ。ちゃんとシステム自体にはキラが手を入れたし、間違っても武器を携帯した人間が彼女に近づく心配はない。 ジュール隊長とメイリンさんが一緒ですもの、何の心配も要りませんわ、とラクスは言った、けれど。 「イザーク・ジュール、ねぇ」 キラは苦々しく呟いた。メイリンは兎も角イザーク・ジュールが信頼に足る人間とはキラは思っていない。目の前で爆散したしたポッド、あの記憶はどうしたってキラの頭から消えるものではない。戦中のことだし、キラ自身だって沢山の命を奪っていて、彼を責める資格なんて無いことはわかっているけれど、でもやはり、納得できないものは納得できないし。 「アスランは信頼してたみたいだけど、ね」 アカデミー時代は何かにつけて勝負を挑まれて困っただとか言っていたけれど、その表情は楽しげで懐かしげで、キラはなんとなく悔しい思いをしたのを覚えている。 のろのろと進めていた足を止めて、ため息をつく。困ったことに、ラクスの執務室を追い出されると、行く場所がない。もともとキラはプラントには知り合いは殆んど居ないし、こうやってふらふら歩いているだけでも、すれ違う人達の視線を感じるし。 針のむしろって感じ? 自分が好意的に受け入れられない理由くらいちゃんと分かっている。ザフトにおいて軍服の色が大きな意味を持つのはアスランから聞いていた。赤や白は、ザフトの誇りなのだという。キラには正直よく分からなかったが。 それをぽっと出の身元もはっきりしない人間が身にまとっていたらそりゃあ見た人間が不快に思うのは当たり前のことだろう。勿論、キラだって好き好んで白服なんて着てるわけじゃないのだからして、文句を言われても困るのだが。 はあ、ともう一つ大きなため息をついたキラに、かつかつと、ブーツの踵が鳴らす音も軽やかに、近づいてきた人物があった。その足音の主はキラとすれ違うことは無く、手前で足を止めた。 視界に入った白いブーツのつま先に、キラは思わず眉をしかめる。白いブーツの主がわかってしまったからだ。こんな間近で足を止めた以上キラに用があるのだろうし、そしてわざわざ自分からキラに話しかけてくる人間は現状、かなり限られている。 「なにしてんですか、こんなとこで」 仮だろうがなんだろう白服を着ている人間にする態度じゃないだろうという生意気さで話しかけてきたのは、シン・アスカだった。赤服に、今はフェイスの徽章は無く、しかしキラを除けばおそらく現状、全ザフト中最強のパイロットであるところの彼は今も、上層部が手を焼く問題児だった。 「また君か…」 キラはため息と共に言う。 ラクスに強引に白服を着せられプラントに来てから、顔を合わすたびにこうやって噛み付かれている。ラクスがいるところでもこの態度は変わらないからいい度胸だと褒めるべきなのか呆れるべきなのか分からないが、はっきり分かるのはこんな部下を持ったアスランはさぞ苦労しただろうなぁということくらいだ。まあそれでも、気に食わない納得いかないと負の感情の篭った視線を向けながらも口に出しては何も言わない連中に比べればはっきり言ってくれる分ましというべきなのかもしれないけれど、こうしょっちゅう噛み付かれてはキラだって疲れてしまう。 「お暇なんですか?白服様は。あんたラクス・クラインの護衛なんでしょ?」 「いくら護衛って言ったって24時間付きっ切りって訳じゃないからね」 さすがに執務室を追い出されましたなどと言えないので、当たり障りの無い答えを返す。 「へえ、で、のんきにお散歩ですか?いいご身分ですね」 「君ってほんとに…」 可愛くないなぁ、とキラは思う。アスランは多分逆に、この辺の、妙に素直といえば素直なところを好意的に捉えて放っておけないと思っていたのだろうけれどキラから見ればむかつくだけの話だ。そんなシンのわかりやすい嫌味にやっぱりわかりやすく反応したキラは、目を据わらせ、シンを睨みつけた。実はキラも、今の状況に結構ストレスが溜まっていたのかもしれない。 不意に、目の色が変わった目の前の白服の男に、シンはちょっとだけたじろいだ。 「君の低レベルな嫌味はもう飽き飽きだよ」 「…………っんだとっ!」 「僕にはねぇ、壮大な夢があるんだよ、こんなところで寿命削ってるほど暇じゃないんだ」 「………………はぁ?」 いきなりわけの解らないことを言い出した白服に、シンはちょっと引いたりしたが、そんな相手の反応を気にすることなくキラは語り続ける。ちなみに、フリーダムでストライクでもあったキラを敵と思う人間はザフトには山ほどいるわけで、もしキラがストライクのパイロットであったことがバレたらはっきり言って後ろから刺されても文句は言えないくらいの自覚はあったから、寿命を削っていると言う表現は決して誇張ではない。 「僕はいずれラクスと結婚するつもりだけど、結婚式はアスランとカガリと合同が良いと思ってるんだ」 「………………はいぃ?」 「家は小さくても一戸建て。隣は勿論アスランとカガリの家だよ。小さくても庭があるといいな、晴れた日は庭で四人でお茶でもしてね」 「……………………………………」 いやしかし、アスハは仮にも国家元首だし、小さくても一戸建てってのはどうか?と突っ込むことも呆気に取られたシンには出来なかった。 「コーディネーターは子供が出来にくいからたくさんは無理だろうけど、でも僕とラクスの間に男の子が生まれてアスランとカガリの間に女の子が生まれたら、その子をお嫁さんにもらうんだ。アスランの子供だったら絶対美人だしね。その子が娘になるなんて最高だよね」 「………………………………………………………………」 反対だったらとか、男同士もしくは女同士だったりとか、子供が出来る確率の方が低いんじゃないかとかそもそも本人の意思はとか、突っ込むことは、以下略。 「そして老後は子供達や孫達に囲まれて、ラクスもカガリもアスランも一緒に悠々自適の隠居生活を送る予定なんだ」 …てかお前、既にそんな生活してたじゃねぇか、と言う突っ込みは、シンは少し前のキラを知らないのでそもそも出来なかったのであるが。 「つまりね、僕はジーさんになるくらいは長生きしなきゃいけないんだよ。こんなとこで白服着てるなんて予定外もいいところだよ!」 二の句が告げないとはまさにこのこと、な状態のシンは、ぱくぱくと意味もなく口をあえがせたあと、それでもやっとのことで気合を取り戻し、叫ぶ。 「じゃあ、着てんじゃんねぇよ、ふざけんな!」 予定外だのなんだの、冗談ではない。そんなことを言われた日には、それこそアカデミーで努力して努力してこの赤服を着ることが出来た自分や自分の仲間たちや、赤や白に憧れるほかの連中とかはどうしたら良いというのか。 そんなシンに、キラはわざとらしく溜息なんかをつきつつ。 「ザフトの誇りってやつ?デュランダル議長の手駒に成り下がってたくせに」 その挙句、アスランにあんな大怪我をさせたくせに。 「な?!てめっ」 「とにかくね、僕は好きでこんな格好してるわけじゃないしあたられても困るんだよね。ラクスは言い出したら手段を選ばないし、それに僕だって、アスランのためだって言われたら強く出られないし!」 「はぁぁぁっっ?!」 訳がわからない。まあ、こいつに白服を着せたのはラクス・クラインなのだろうけれど、なんでそこでアスランが出てくるというのか。 「大体僕はね、プラントに戻るのがアスランの幸せだとは思ってないんだよ!オーブで僕やカガリやラクスと一緒にいた方が絶対幸せなんだから!」 「ちょっと待てやぁぁぁっっ」 キラの訳の解らない言い分に、すっかり混乱気味だったシンは、それでも「オーブ」と「カガリ」という単語にはしっかり反応した。ちなみにそこに「ラクス」という名前が入っている奇妙さには気付かなかったらしい。 「ふざけんな!オーブなんてろくでもない国にいるよりプラントにいた方が良いに決まってんだろ!」 大体、とシンは思う。シン自身は、故郷であるオーブを捨てた人間だ。それでもやっぱり、時折子供の頃のこととかを思い出して少し懐かしく感じることがあって、アスランさんの場合は好きでプラントを離れたわけではないのだろうから、その気持ちは尚更のはずだ。きっと帰れるものなら帰りたいと思っていると思う。 それになにより、自分は一時とはいえあの人の部下だったのだ。そりゃ、噛み付いてばかりいたけれど、あの人がプラントを守りたいとザフトの軍服を身に纏っていたのは、この目で見て知っている。 「あの人はプラントを守るためにザフトに戻った人だ。今だって帰りたいって思ってるに違いないさ!」 シンのその言葉に、しかし、キラは、ふん、鼻で笑って返す。 「甘いね、アスランは確かにプラントを守りたいって思ってただろうけど、同じくらいオーブもカガリも地球のほかの国に住む全然知らない人たちすら守りたいっていう、厄介で、グローバルかつワールドワイドで挙句ちょっと夢みがちな性格なんだよ!そのおかげでハツカネズミになりがちなんだけどね。…まあ、そこが可愛いとこでもあるんだけど」 「………意味わかんねぇ………」 「プラントに行ったってきっと今度はオーブのこととかも気にしたりするんだろうから、どっちにいたって同じって事!だったら、オーブの方がアスランには絶対安全だもん。誰かさんみたいにアスランを利用したりスパイの濡れ衣着せたり、撃ち落したりする人間はいないからね!」 「っ……それはっ………!」 痛い記憶をつかれ、シンは黙った。確かにいわれるままにアスランを撃墜したのはシンだし、あの時大きな怪我を負ったとも、後で聞いた。だがそれを素直に認めるには現在目の前に居る人物への反抗心が強すぎた。 「ざっけんな!てめぇだったあの人のこと撃墜したろうが!やってることは殆んどテロリストだったくせしやがって!」 「仕方ないでしょ!あの状況でオーブ軍と撃ち合ったりしたら、アスランのことだもん、空前絶後のハツカネズミモードに陥るに決まってるんだから!」 「てめぇに撃ち落された後だって、そりゃ、うざうっとおしい勢いで落ち込みまくってたっつーの!」 そうだ、とシンは思う。セイバーを落とされた後のアスランときたら、まあ元々明るい人じゃなかったけど、それでも更に辛気臭さに磨きがかかったというか、挙句飯は食わないわ部屋に篭りがちだわ、自分達がどんなに心配したことか。まあその心配が嫌味として出てしまったのはシンのシンたる所以ではあるが。挙句、せっかく必死でフリーダムを落としたというのに、キラは敵じゃないとか言われたり、殴られたり。…ああ、だんだん腸煮えくり返ってきた。 そうして、だんだんと目を座らせていくシンに対し、キラはキラで。 そうだよ、あの時のアスランはほんっとに酷い怪我だった。助からなかったらどうしようって、僕もカガリも本気で泣いたんだから。それなのにアスラン本人ときたら、自分にあんな怪我を負わせた人間を怒るどころか心配して、挙句。……そう挙句、あんな大怪我でジャスティスに乗って。悔しいけど、あの時アスランの頭に一番にあったのは、このシンて子をとめることだったんだと思う。まあ勿論、カガリのことも心配だったんだろうけど。 そんなあれこれを思い出し、キラはふつふつと怒りが湧き上がってくるのを感じた。 「………あんた、むかつく」 「………………それはこっちの台詞だよ」 赤とすみれ色が、射殺さんばかりの勢いで睨み合い、その場を取り巻く空気が氷点下まで下がった、その瞬間。
「なにをしとるか、貴様らぁ!」
雷のような一喝に、さすがのキラとシンも、びくり、と肩を震わせた。 「イザーク・ジュール………」 「………ジュール隊長?」 ちなみに、元フェイスでザフト一のパイロットで性格的にはきわめて反抗的という扱いにくいことこの上ないシン・アスカを預かっていいという奇特な隊長が他にいなかったため、現状シンは、ジュール隊預かりになっている。 「赤と白がそろいもそろって、みっともない真似をするな、馬鹿どもが」 「でたね、オカッパ」 「あんただって、大声張り上げればいいってもんじゃないでしょう、が!」 かちーんときたキラとシンが一瞬お互いへの怒りを忘れて同時にイザークへと噛み付いた。 そんな二人をやれやれと眺め、イザークは大仰にため息をつく。馬鹿の相手はしていられない、といわんばかりの態度だ。 「うわ、むっかつく」 「だいたいあんたいくら隊長だからって偉そう過ぎますよ!」 何故かこんな時だけ息の合う二人だった。 「うるさいやかましいだまれ」 しかしイザークは、そんな二人を一息で黙らせ、一拍置いて続ける。 「キラ・ヤマト。クライン議長との話は終わった。……貴様は護衛だろう」 「わかってるよ!」 君に言われたくないね!と言ったキラはイザークを睨みつけ、イザークもそれを受けて険悪な視線を返したが、結局キラのほうが先に視線を外す。ここで言い合っても仕方がないと判断したのか、大人しくラクスがいる執務室に戻ることにしたらしい。今まで言い合っていたシンを一瞥して、踵を返し、しかしすぐに足を止める。 そこには、イザークが現れた時から何故か後ろに控えるように立っていたメイリン・ホークが居た。 ラクスの秘書官である彼女が何故ジュール隊隊長と?と、普通なら思うところであろうが、キラにはなんとなく事情が分ってしまった。 「まったく…ラクスときたら………」 「ええと、あの…なんといいますか、すみま、せん…?」 「や、君のせいじゃないし」 まあ、いろいろと企んだのはことごとくラクスであるので、メイリンが謝ることでは勿論ない。 「アスランのこと、よろしくね」 「あ、は、はい!」 キラの言葉に大きくうなずいた少女に、キラは小さく笑い、イザークとシンには、じゃーね、とそっけなく背を向ける。そんなキラに、イザークも、少しだけ唇の端を引き上げて笑ったようだった。 一人、訳がわからないのはシンである。え、何がなんでどうなってんだ、そもそもなんでアスランさんの名前が、とうろうろと視線を彷徨わせる同僚に、メイリンは、よろしくね、と言った。 「は?よろしく、って、なに」 「私、ラクス様の秘書官クビになっちゃったの。それで、また軍に復帰して、これからはジュール隊だから」 だから、よろしくね、シン。あ、お姉ちゃんも一緒だから、と笑うメイリンに、シンは更に目を白黒させる。え、復隊すんの?その前にクビって…いやでも普通はそれって慰めるべきかもしれないけど、そもそもメイリンの場合で好きで秘書官になったわけじゃないだろうしまあいいのか?などとぐるぐると考えてしまう。 そんなシンに、イザークは大仰にため息をつき。 「貴様も赤服を纏う者としてもう少し落ち着きを持て。ふらふらしているのはあのバカだけで充分だ」 「は、あ………?」 はっきり言って話の流れが少しも読めなかったシンであるが、何故か「あのバカ」が誰であるのだけは解ってしまって。え、一体何がどうなってんだ?とはてなマークを飛ばす少年に、メイリンは肩を竦めてもう一度小さく笑い、イザークは改めてやれやれと溜息をつき、いくぞ、と一言だけ残すとキラが去ったのとは反対方向へと歩き出した。
とことんアスランさん不在でお送りしてます…… でもってキラが大層変な人に。……うちのキラはまあ、アスラン大好きなんで(基本設定) そしてうちのシンちゃんとキラは意外と良いコンビっぽい。シンちゃん、アスランさん相手にはノリツッコミはできないけど、多分キラになら出来ると思う(それってどういう……?)
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